All the World is a Stage

ミュージカルや舞台の観劇記録や感想、自分用メモなどを書いています。今やっている作品だけでなく、過去作(円盤化作品、映画、ライビュなど)も見ます。

【記録・感想】NTLive『夏の夜の夢』

☺NTLive『夏の夜の夢』

2020年7月15日 @TOHO日本橋

 

・原題 A MIDSUMMER NIGHT’S DREAM

・作 ウィリアム・シェイクスピア

・演出 ニコラス・ハイトナー

・キャスト

妖精王オーベロン役:オリヴァー・クリス

ヒポリタ役/ティターニア役:グェンドリン・クリスティー

妖精パック役:デヴィッド・ムースト

・上演劇場:ブリッジ・シアター(ロンドン)

 

 

美術と劇場空間の使い方が本当に素晴らしかった!

 

アリーナにいる観客は皆立っていて、中央の舞台を囲むようにしている。音楽ライブのようなスタイルで列などは定められておらず、気の赴くまま自由に移動している人が多かった。

驚いたことに、ハイトナーは観客ひとりひとりを木に見立てたと語った。それによって、劇場空間に森を作り出したのである。

そのため、劇中では、観客に混じって俳優が登場したり、人混みの中を俳優がかき分けて通ったり、まさに、何が出てくるかわからない不思議の森を表しているようだった。観客たちは自分が劇の一部を担当している気分になり、さぞかし楽しかったことだろう。

また、パックを始めとする妖精たちは観客の頭上でエアリアルを魅せる。クルクル回る、いたずら好きで自由奔放、でも憎めない森の精たち。全身を使って観客を誘惑しながら、物語を引っ掻き回してくれた。

美しく効果的な照明も相まって、どこまでも幻想的な空間がつくりだされていた。

 

没入型演劇の理想的な姿に出会ったような気分。しかし、それをはるか遠くから映像で見る私たちはちょっと切ない気もする(笑)